耐震工事

建物の地震への強さは、建っている地盤、基礎、柱や土台、壁、建物の形状などによって様々です。

大型地震の直後から「屋根は軽いほうがいいの?」という心配をよく耳にしますが、新築や、築年数の浅い場合はまず問題ないと考えていいでしょう。当たり前ですが、瓦屋根の場合、建物自体瓦をのせられるだけの骨組みで建てられています。またそれと同じように、軽い屋根材がのっている建物は、それに応じた骨組みで建てられている場合が多いです。屋根材には、重量のほかにも耐久性や断熱性、遮音性や耐寒性、経済性など、比べる要素がたくさんあるので、一つの機能にとらわれず、長所や短所をふまえたうえで選ぶことが必要です。地震や台風に特化した防災機能をもつ屋根材に取り替えることで、屋根だけでなく建物全体の耐震補強にもなります。ここでは、地震や台風が来ても飛ばない、落ちない、ずれない強い屋根にするための方法を紹介します。

新素材に替える

新素材は色々ありますが、当店では、陶器瓦の長所と防災機能をもち約12%軽量化された和瓦「かるーが」や、見た目が洋風で防災機能を備え約30%軽量化された洋瓦「トラッドU防災」、瓦と厚みや重量などは同じで、重さは従来の瓦の半分以下、瓦のような見た目の美しさと軽さをもつ「ROOGA」、瓦の約10分の1の重量で、形状やカラーも多様な板金屋根「カレッセ」などを薦めています。ただ新素材は歴史が浅く、今後どういう問題が出てくるのかわからないのも確かです。

棟(むね)部分の補強

屋根の中でとくに傷みやすい棟部分を、既存の瓦を使い大きな地震や台風に耐えうる工法で取り直し補強します。

軒先・袖部分の補強

軒先瓦・妻側の袖瓦(屋根の周りの瓦)は地震や風の影響を受けやすい箇所です。瓦を固定する釘の打ち直し、銅線を使った固定、ステンレスビスにて固定し直す工事などを行い補強します。

平部分の補強

平部分の瓦(一番多く並べられている瓦)は、ほとんどの場合下地に留めてある桟木に引っ掛け、上下左右の瓦が重なり合い固定されています。しかし、築年数が多い場合や、過去に何度も雨漏りの経験がある場合、瓦を固定している桟木が腐ったり痛んでいる可能性があります、その場合、瓦をめくり、下地をやり直し、下地材の防水シートを交換します(野地板や垂木が傷んでいる場合も補修します)。そして新しい桟木を打ち、めくった瓦に溜まったゴミを掃除し、もう一度葺き直します。

リフォーム

現場を下見したうえで、お客様と相談しご希望に添った屋根材をお勧めしています。各種屋根材には一長一短があり、建物の景観バランスや機能性、施工・施工後にかかるコストパフォーマンスも様々です。ここでは、各屋根材の種類を大まかに説明します。現在の屋根がスレート屋根(カラーベスト・コロニアル)の場合は、取り替えることが難しいため、対処法については「よくある質問」も併せてご参照ください。

いぶし瓦・陶器瓦

和瓦は長い歴史が裏付ける高性能な屋根材です。屋根全体に暖かみが感じられ、混ぜ葺きなど洋風な外観にもよく合うS型瓦や、最近流行りのフラットな印象を与える平板瓦など豊富な形状があります。耐久性は特に優れており、屋根材としてとても長く40年以上です。また断熱性にもすぐれ、家の中が冬暖かく夏涼しく、遮音にも優れています。短所としては一坪約140キロと重量があります。最近は地震への関心の高さから従来の瓦よりも10%〜30%ほど軽量化した瓦や、防災機能のついた瓦もあり、重量や地震への心配も減ってきています。

セメント瓦

セメントをプレスし塗装した瓦です。見た目は和風洋風両方あります。防音性や断熱性は高く、価格はいぶし瓦・陶器瓦よりも安値です。耐久性はいぶし瓦、陶器瓦と比べて劣り、塗装は20年前後で劣化が生じ始め、コケなどが生えやすくなります。重量はいぶし瓦・陶器瓦とほぼ同じです。

スレート屋根

平らですっきりした印象の見た目と、数多いカラーバリエーションでどんな建物にも合い、重量が従来の瓦の半分以下、施工が早く安値なので、現在とても多く普及し出している屋根材です。2001年(平成13年)くらいまでは石綿(アスベスト)を含んでいましたが、現在のものは全く含んでおりません。雨漏りと直接結びつきませんが、耐久性は短く、施工から10年前後で塗装がはがれ始め、色さめが始まり、板金部分のさび等がおこります。また、塗装がはがれると防水機能の低下やひび割れもおこり、寿命は新しく塗装し直しても約20年ほどです。瓦系の屋根材と比べると断熱性は低く、特に夏の場合、屋根の下の部屋は快適性が劣ります。回避策としてオプションを取り付けることで軽減させることが可能です。

板金系屋根

とても軽量で施工も早く、たくさんの種類や形状があります。また、耐久性が普通の板金よりも優れたガルバリウム鋼板、さらにその上に天然石を吹き付けた屋根材もあります。ただ、薄いので遮音性や断熱性がほかの屋根材に比べて低く、特に夏の場合、屋根の下の部屋では快適性が劣ります。軽量なので、劣化したスレート屋根に乗せる「カバー工法」にも適しています。